動物界では様々な分類群でオスが複数のタイプの精子をつくる精子多型現象が知られてきた。このような動物では、受精能力を有する通常の精子を正型精子と呼び、受精能力のない精子を異型精子という。ほとんどの鱗翅目昆虫のオスは、正型精子である有核精子だけでなく、異型精子である無核精子もつくる。無核精子は、一般に有核精子よりも小型であるものの、チョウ類では全精子の約9割を占めるほど数が多い。しかしながら、無核精子の生理的特性は十分わかっておらず、その適応的意義や進化の理解の妨げになっている。本研究ではカイコガの生体より無核精子の走化性因子を抽出し、その特定を試みた。
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