稲作水田の耕作放棄地は農耕地内に成立した湿性草原で、野生生物に良好な生息場所を提供してきた。しかしながら、その生態的機能や保全的価値が注目される前に、減反政策の廃止等で激減している。本研究では、小型鳥類4種を指標として、2つの側面から冬季の耕作放棄地の機能と価値を立証した。第1に、東北地方~南西諸島の計474ヶ所で、対象4種の越冬状況をプレイバック法を併用したラインセンサスで調べ、耕作放棄地の利用実態を明らかにした。第2に、茨城県の耕作放棄地6ヶ所にて、対象4種の詳細な越冬状況を、上記のラインセンサス・自動録音・カメラトラップで調べ、合わせて25地点の植生を計測し、その対応関係を示した。
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