本研究は微生物生態系の形成、維持、変遷メカニズムの解明を目指した。そのために5種の異なるフェノール分解菌を用いた培養系の解析を行なった。その結果、5種の植菌順序が最終的な群集構造に影響を及ぼし複数の平衡点を持つことが示された。RNA-seq解析により群集構造変遷メカニズムを検討した結果、早期に群集構造が安定した培養系では優占種がフェノールを独占し、他の菌株は培養液中に分泌された代謝物に依存して増殖することが示唆された。一方で、不安定な培養系では複数種がフェノールを競合する状態にあることが示唆された。以上の結果から、微生物生態系は代謝ネットワーク形成により安定化することが示唆された。
|