研究課題
若手研究
本研究では、瀬戸内海沿岸に位置する8府県の513件の祭りを対象に、祭りが執り行われる文化的空間の実態や課題を明らかとした。その結果、祭りの文化的空間は、その土地の地形・立地や歴史的文脈により、様々なタイプが地域的なまとまりをつくりながら偏在していることが明らかとなった。また、文化的空間の保護には、祭りの無形的要素や空間の物的要素の保存に留まらず、地域ごとに文化的空間の本質的価値を明確化した上で、祭りを継承するコミュニティに対する外部支援等も重要であることが考察された。
ランドスケープ科学関連
本研究は、国内の現行法では保護を講じることができず、研究の蓄積がない「文化的空間」という文化遺産カテゴリーを対象とし、文化的空間の実態や成立、継承課題を明らかとしたもので、わが国の文化財行政の保護施策拡充に寄与する基礎的知見となると考えられる。さらに、多様な文化的空間タイプの地域的偏在性を明らかにしたことにより、瀬戸内海文化における文化多様性保全につながる知見を有していると考えられる。