研究課題/領域番号 |
20K15550
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
張 平星 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (40846383)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 庭園 / 火山岩 / 石材 / 帯磁率 / 採石場 / 石造物 / 石の文化 / 造園 |
研究実績の概要 |
2023年度は各地の造園石材に関する情報の収集と整理を継続し、全国の庭園における火山岩文化の全体像をまとめつつある。 まず全国の造園石材から火山岩情報の抽出結果について、6月の日本造園学会全国大会で発表し、日本庭園の火山岩文化について、11月の第18回日中韓ランドスケープ専門家会議で報告した。次に、2021年金沢市の兼六園の調査結果をまとめ、戸室石を含めた加賀藩の造園石材について2023年6月の日本庭園学会で発表した。さらに、日本庭園の石材調査の方法について、3月の文化地質研究会第7回学術大会で発表した。 一方で、造園石材の調査は都内の大名庭園の庭石調査を拡大しつつ、9月に伊豆大島・12月に石川県と福井県・3月に熊本で調査を展開した。伊豆大島では玄武岩溶岩の性質および波浮港の旧甚の丸邸庭園の石材調査を行った。石川県と福井県では、小松の滝ケ原石、福井県の笏谷石と養浩館庭園・一乗谷朝倉氏遺跡の安山岩を調査した。熊本では、阿蘇山の噴火でできた凝灰岩類・安山岩類および水前寺庭園の石材について調査を行った。 また、これらの調査結果は、都立庭園のボランティアガイド向けの講習会や海外向けの講演会で発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症で最初の2年間は調査が大幅に遅れていたが、2年間延期し、現在はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の前半は全国の調査と情報整理を継続し、後半は複数の分野の学会(日本造園学会、文化地質研究会など)で発表するように結果を整理する。また、一般市民向けの情報発信も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大により、2020~2022年度の現地調査に遅れが発生している。2024年度は、実施できなかった現地調査を遂行する予定である。また、産地が離れていても外観が類似した火山岩の判別について、偏光顕微鏡で観察するために、薄片を外注で作成する予定である。次年度使用額は、現地調査の旅費、薄片作成費用、学会発表の投稿料・掲載料・旅費に使用する。
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備考 |
一般市民・中高生向けの本研究の成果発信は以下3件ある。 ①「都立9庭園の庭石」(講師)、都立庭園ガイドボランティア勉強会、2024年02月。②「Use of Stones in Japanese Gardens」(講師)、Ikebana Club (Belgium) online seminar、2023年11月。③「後楽園の庭石」(講師)、小石川後楽園ガイドクラブ講演会、2023年09月。
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