研究課題/領域番号 |
20K15555
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中林 雅 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 助教 (70770858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドリアン / 種子散布 / 森林の空洞化 / 実生 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、2020年度は調査国マレーシアに渡航することができなかった。そのため、2019年度までの野外調査で取得したデータをまとめ、1件の国内学会で発表をおこなった。 これまでに取得したデータでは、健全な森林、大型動物を喪失した空洞化した森林の2か所で、大型種子をつける植物の代表として、ドリアン属の果実サイズ、密度と実生の密度を比較した。 この結果によると、健全な森林と空洞化した森林に生息するドリアン属の果実サイズに有意差はなかった。また、直径1㎝を超える実生と成木の密度は、健全な森林と空洞化した森林で有意な差は見られなかった。一方、直径1㎝未満の実生の密度は、健全な森林で有意に高かった。 大型動物の喪失は、ドリアン属などの大型種子をつける植物にとって、種子散布の機会の喪失につながると考えられることから、実生の密度に直接影響が反映されると考えた。しかし、この結果から、空洞化した森林でも実生の密度は低いものの、大型種子が運搬されている可能性が示唆された。今後、カメラトラップを使用して、空洞化した森林で大型種子散布者の種子散布機能を代替している動物を特定し、種子散布者としての有効性を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、2020年度は野外調査を行うことができなかった。また、調査国マレーシアでも感染状況は厳しく、現地協力者に調査を代理でおこなっていただくことも現時点では不可能であるため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて、速やかに調査国に渡航する、または現地協力者と相談して、調査を進めていただくよう試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、2020年度は当初予定していた野外調査がまったくできなかったため。 今年度は、感染拡大状況を注視しながら、引き続き野外調査のための使用を検討する。次年度使用額は、調査地への渡航費、人件費および機材の購入に使用する予定である。
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