研究課題/領域番号 |
20K15555
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中林 雅 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 准教授 (70770858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 種子散布 / テレメトリー / 大型種子 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスによる海外渡航が緩和されたので、2022年度は3度調査国マレーシア・サバ州に渡航した。1回目は2022年9月に、主に調査道具の運搬を目的とした短期間の滞在だった。2回目は11月13日から19日にかけて渡航した。現地研究協力者のEyen Khoo氏とミーティングをおこない、引き続き協力を得られることを再確認した。しかし、Khoo氏の所属するサバ州森林局森林研究センターでも人員が不足しており、調査助手の雇用は半年前から予約することで合意した。3回目は2023年3月に短期間渡航した。その際に、本研究の予備実験をおこなった。渡航した時期に大型種子をつけるドリアンなどの果実を入手できなかったので、本研究で使用する小型発信機を栽培品種の果実の果肉に挿入して、森林内でテレメトリー受信機一式を用いて発信機の探索をおこなった。その結果、小型発信機を探知できるのは半径200メートル以内だと分かった。移動距離が長い大型動物に小型発信機を挿入した大型種子を食べられた場合、散布距離の推定のために運搬された発信機を探索するのは、極めて難しいことが示唆された。この予備研究で、本研究でおこなう散布距離の推定を実施する場合は、餌台の近くで待機して、採食した動物をできる限り目視で追跡する必要があることがわかった。今年度からは7月以降に調査地に渡航し、本格的に研究を再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染状況の世界的な拡大により、海外渡航が制限されていたため、調査国に渡航できなかったことが主要因である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2023年7月に渡航して、動物による大型種子の運搬能力の検証をおこなう。また、大型種子をつける植物の空間分布と種多様性については研究に時間がかかるので、現地研究協力者と日程を調整しながら、調査助手を雇用して実施してもらう方針にする予定である。 2024年2月に渡航して、得られた研究成果をまとめ、3月の生態学会で発表および国際誌に論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって渡航制限があったため、調査地に渡航することができなかった。そのため、渡航費および研究費を予定通り使用することができなかった。 今年度は調査地に渡航し、森林内に餌台と自動撮影カメラを設置して、研究目的3の「生息する種子散布動物の種子運搬能力に違いがあるか」を中心に検証する。そのため、渡航費と人件費、および自動撮影カメラの購入に使用する予定である。
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