研究課題/領域番号 |
20K15560
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
有水 賢吾 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (00781642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自動化 / 林業機械 / 荷役作業 / セグメンテーション |
研究実績の概要 |
本研究では林業機械による丸太(材)を掴む・積むという荷役作業の自動化・サポート技術に着目し,自動荷掴みシステムのための材形状推定システムの開発を目的としている。林業機械が作業を行う環境中から材形状を推定するシステムの開発にあたっては,①材を含む画像から材の領域を精密に検出,②材形状の推定という2段階の処理が必要である。本年度は①として深層学習を用いた材領域検出システムを開発した。 深層学習による材領域検出システムとして,インスタンスセグメンテーションを利用しカラー画像から材の領域を精密に検出するシステムを開発,材の検出精度について評価を行った。茨城県つくば市および群馬県沼田市にてステレオカメラで撮影したスギ・ヒノキ・モミの椪積み画像および材のラベル画像のデータセットを作成し,学習モデルを作成した。この際に,環境変化に対応可能な検出を行うために複数の試験地にてデータを取得するのみならず,教師データをランダムに拡張した。 結果として,データセット全体で80%以上と十分な精度が得られた。単一の試験地にて学習したモデルと比較して,本研究内で提案した学習モデルは未知のデータに対して大幅に精度が向上することを確認し,複数の試験地に対応可能な汎用性の高い検出ができていると考えられた。また,学習に用いていないヒマラヤスギを含んだ画像データを用いた場合でも同程度の精度が得られ,学習に用いていない樹種の検出においてもある程度の精度で検出が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り深層学習を用いたセグメンテーションによる材領域の検出を実施し,複数の試験地に対応可能な学習モデルを構築した。本年度はCOVID-19による緊急事態宣言の発令のため移動が制限され,予定よりも学習用画像の取得が少数となってしまったものの,過去のモデルと比較して十分な精度を確認したためおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,材の形状推定システムの開発を実施し,得られたセグメンテーション画像より材の径・長さ等を推定するシステムを開発する。また,深層学習によるセグメンテーションのロバスト性向上のため,引き続き教師データの取得を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による緊急事態宣言の発令のため,予定よりも試験地でのデータ取得回数が少なく次年度使用額が生じた。次年度は当初の研究計画に加えて追加の学習用データの取得を行い,効率的な予算執行に務める。
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