伐採前の森林がもつ構造や生物を伐採後も長期にわたって残す森林管理である保持林業は、木材生産と生物多様性保全とを両立できる森林管理として注目され、日本の針葉樹人工林での有効性も実証されてきた。一方で、保持林業においてどのような木を残すべきか、という保持木の質についての検討は進んでこなかった。単一樹種の人工林では植栽木と地域の在来樹種との間で、生態的機能が大きく異なる可能性があるため、保持木の質は保持林業の効果を大きく左右する可能性がある。本研究の成果は、日本での保持林業の導入の際の選木基準や、保全効果を向上させるための方策を今後検討する上で重要な知見を提供すると考えられる。
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