研究課題/領域番号 |
20K15567
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤澤 秀次 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80756453)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナノセルロース / 複合材料 / エマルション |
研究実績の概要 |
ナノセルロースは植物由来の高強度繊維であり、炭素繊維やガラス繊維に代わる持続可能なポリマー補強材料として利用が期待されている。ナノセルロースの補強効果をポリマー中で発揮するためには、両者をナノレベルで均一に複合化する必要がある。本研究では、有機溶媒を用いずにナノセルロースとポリマーを均一複合化する材料加工技術開発を行う。研究方法として、これまでに申請者が確立している完全水系プロセスによって、均一なナノセルロース/ポリマーマスターバッチの開発を行い、マスターバッチ/ポリマーの溶融混練により均一な複合材料の調製を目指す。本年度は、前年度までに確立したマスターバッチの最適な反応条件をもとにマスターバッチの調製を行い、その物性を評価した。得られたマスターバッチの断面および表面を走査型電子顕微鏡により観察し、マスターバッチ中でのナノセルロースが均一に分布していることを確かめた。マスターバッチ中におけるナノセルロースの濃度は約20%であり、高濃度でナノセルロースとポリマーを複合化できた。さらに、マスターバッチのFT-IR分析から、ナノセルロースとポリマー両方のスペクトルを確認でき、目的の化学構造が得られたことを確認した。また、重合したポリマーの分子量分布およびコンフォメーション解析をサイズ排除クロマトグラフィー/多角度光散乱測定システムにより行ったところ、ポリマーの重合が適切に行われていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノセルロース/ポリマーのマスターバッチを高収率で調製する条件を見出し、さらにその化学構造解析や電子顕微鏡観察によりマスターバッチの構造解析も行っており、計画通りに研究を進められている。さらに、重合したポリマーの分子量分布やコンフォメーション解析も積極的に行えた点は特筆に値する。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られたマスターバッチを用い、溶融混練と押出成形によってナノセルロ―ス/ポリマー複合材料を調製し、力学および光学物性の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張や学会発表がすべてキャンセルとなったため繰り越しが生じた。繰り越し分は、実験の消耗品費や学会発表、および論文投稿料などに使用する予定である。
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