初年度に続き、外部機関での実験に制限があったため、解析を中心とした内容を実施するとともに、実験環境の構築に注力した。既往の報告から、針葉樹においては、樹体支持機能発揮、すなわち、あて材形成に伴い、その部位においては通水機能が低下することが示唆されていた。これまでに蓄積してきた申請者の実験結果からも、針葉樹類似の細胞構成をもつイチョウにおいて、同様の傾向が示されていた。今年度は、染料注入後の画像の解析を中心に進めたが、これまでに得られた結果も含めて、総合的に考察すると、丸太への染料注入速度の点からも本仮説を証明できる可能性が示唆された。しかし、染料注入においては、拡散による染料の広がりも考慮する必要があるため、引き続き慎重に検討する必要があると考える。 一方、当初検討していた力学特性の検討についても、試験片の形状の特殊性から、再現性のある測定の実施のために条件検討を行う必要があったため、直ちに実施することが困難な環境であった。このため、試験条件を検討するために、予備実験を実施した。今年度で本研究課題は終了となるが、今後も引き続き実験を進めていく計画を立てている。
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