本研究では幼生の着生行動が低濃度のフェロモン刺激で抑制されることを示した。また、フジツボ類の着底場所の温度条件の探索に関与している可能性のある遺伝子マーカーを検出することに成功した。これらの成果は基礎学術的に新規性が高いだけでなく、付着生物防除などの応用分野にも貢献する成果である。 またサンゴ類の幼生においては、捕食者であるオニヒトデが分泌する化学物質刺激によって幼生の行動や遺伝子発現を大きく変化することを発見した。オニヒトデはしばしば大発生してサンゴの深刻な食害をもたらすことが知られているが、本研究の知見はオニヒトデからサンゴ礁生態系を保全するための重要な知見になると考えられる。
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