超音波テレメトリー手法を使用した野外実験を、チョウチョウウオを対象として各年度1回行った。場所は高知県中土佐町上ノ加江港近くの海域とした。2020年8月には角型生簀で実験を行った。体サイズを揃えた本種8個体に3秒間隔でIDと深度情報を発信する小型超音波発信機を外部装着し生簀内に放流した。4台の受信機を使用し、約89時間の連続観察を行った。双曲線位置決定法によって、うち6個体の高精度・高頻度の3次元位置データの取得に成功した。2021年8月には港の地先の築磯を中心に実験を行った。体サイズを揃えた本種10個体に5秒間隔でIDと深度情報を発信する小型超音波発信機を外部装着し、放流した。54台の受信機を使用し、約1週間の連続観察を行った。双曲線位置決定法によって10個体の高精度・高頻度の3次元位置データの取得に成功した。 獲得した位置データを解析し、速度・最近接個体間距離(NND)・乖離遊泳指数(SSI)の平均値を調べたところ、時間によって疎・密が異なり、かつ同調度合いも変化していることが示された。実験結果は、2021年3月にオンライン開催された日本水産学会春季大会にて口頭発表、2021年11月にオンライン開催されたThe 12th Symposium on Polar Scienceにおいてポスター発表した。また、各個体の3次元位置計算をこれまで開発してきた手法よりも高精度かつ高速に実現するため、双曲線位置決定法における交点計算手法の新規開発及び既存手法の洗練化を行い、論文を投稿した。
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