前年度に全ゲノム解析を実施した比較解析用の臨床由来株(H. pylori 3401株)について、データを精査したところ、複数の制限修飾系遺伝子セットが確認された。制限修飾系は細菌のもつ外敵防御機構の一つであり、特定の配列を認識して切断する「制限酵素」および同一配列を認識してメチル化を施す「修飾酵素」から成る。これまでの研究で、ピロリ菌は複数の制限修飾系セットを有することが報告されていたが、その保有パターンは株により多様であるとともに、公共データベースに登録されているピロリ菌株の制限修飾系情報は限られていた。そこで、ファージ感受性を示すことがわかっているピロリ菌株について、PacBioシークエンスを行い、ピロリ菌株の保有する制限修飾系とメチル化モチーフセットを明らかにした。研究開始時には想定していなかった知見が得られ、現在、論文投稿の準備段階にある。
|