研究課題/領域番号 |
20K15595
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細野 耕平 東京工業大学, 生命理工学院, JSPS特別研究員 (10826754)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / カリウムイオン / 塩類細胞 / 浸透圧調節 / イオン代謝 |
研究実績の概要 |
水圏に生息する魚類においては、体内と体外との間の浸透圧差により、体表を介して常に水やイオンが移動している。しかし鰓・腎臓・腸・膀胱からなる浸透圧調節器官が機能することで、体液浸透圧は常に一定に維持されている。本研究では、各種のイオンの中でも、魚体内に最も多く含まれるカリウムイオンに着目し、その代謝経路の解析を行った。その際には狭塩性淡水魚であるゼブラフィッシュをモデル魚として用い、カリウムイオンチャネルの分子構成と発現パターン、生理機能の解明を目指した。本年度は以下の通り研究を行い、成果を得た。 本年度はコロナウイルスの蔓延に伴う緊急事態宣言の発令により、実験の実施には制限が生じた。そのような状況下で、本年度は主に、分子構成と発現パターンに着目した解析を中心に行った。まず、kcnj1aの6つの遺伝子のクローニングを行い、それぞれの配列の確定に成功した。これらの配列を比較考察し、各ドメインの推定を行った。加えて、組織別発現解析のプレデータも取得した。今後は祖識別発現解析や発生段階別の解析をさらに進める予定である。また、系統樹解析・シンテニー解析を中心としたkcnj1の網羅的なin silico解析により、遺伝子重複の詳細を把握し、重複に伴い生じた各遺伝子への影響の検出を目指すとともに、それぞれの特徴を見出すことにも成功した。来年度にはこれらのデータを踏まえ、発現パターンや生理機能の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナウイルスの蔓延に伴う緊急事態宣言の発令により、種々の実験のみならず魚類の飼育においても制限が生じた。そのため、特にウエットの実験はそれほど進展しなかったが、一方で、ドライの実験では一定の成果を得ることができた。総合的に考えて、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の予定通り、Kチャネルの発現パターンや生理機能の解明を目指す。とりわけ少し遅れているウエットの実験に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う緊急事態宣言の発令により、魚類の飼育や実験を制限する状況が生じたため、研究に遅れが生じた。そのため次年度には、その遅れの分を併せて助成金を請求している。実験は遅れたものに加え、当該年度実施予定だったものも含めて進める予定である。
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