養殖魚に発生する抗酸菌症は、日本の養殖業に多大な経済的被害をもたらす疾病の一つである。原因細菌であるMycobacterium spp.は、感染後すぐに症状を示す「活動期」と、宿主細胞にとどまり再燃の機会を待つ「休眠期」の2つの状態を持つ。 これまでの研究において、ニジマス抗酸菌症の原因細菌であるMycobacteroides salmoniphilumが、in vitroの低温培養(5℃)で休眠することが明らかとなっており、さらに、5℃で飼育したニジマス体内でもM. salmoniphilumは休眠することが明らかとなった。一方で、M. salmoniphilumの休眠菌に対してニジマスは免疫応答を示さなかった。本年度は、休眠菌に対してニジマスが免疫応答を誘導しなかった原因を明らかにするため、休眠菌及び活動菌の生物学的および生化学的な特徴付けを行った。
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