本研究は「食料自給率は食料安全保障を達成するために有効な手段になりうるか」という学術的に重要なテーマに取り組んだものである。これに関するモデルを用いた定量的研究は非常に少ないが、穀物に関する研究は申請者と共同研究者によっていくつか分析された。食肉に関する自給率政策の効果の測定は申請者が知る限りでは存在しなかった。 まず、申請者は牛肉の国際価格に対して牛肉の純輸入国の国内価格への波及効果に自給率がどのような効果をもたらすかに疑問を持った。この研究から、高自給率は世界市場からの影響を弱める事が判明した。これはSustainabilityに出版された。 次に、この牛肉に関連するトピックを豚肉に置き換えた研究も行った。ここでも自給率を高めることは海外市場からの影響を弱める事に繋がることが分かった。また、代替財である牛肉消費は国際市場からのショックを吸収する役割があることが明らかとなった。これはHumanities and Social Sciences Communicationsに出版された。 また、申請者は日本の牛肉市場にもフォーカスを当てた。この研究では国際牛肉価格と日本の輸入牛価格、国際牛肉価格と和牛価格の関係性を調査した。月次データを用いて、最新の手法であるtime-varying parameter vector autoregression (TVP-VAR) connectedness approachを適用した。その結果、自給率や和牛の在庫は国際価格からの伝達を弱める効果がないが、輸入牛肉はその効果が認められた。この論文は現在Australian Journal of Agricultural Economicsにて審査中である。 一般の読者にもこれらの知見が広まることを目指し、Research Outreachに記事が出版された。
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