昨年度までの研究を通じて、雇用型TMRセンターは委託先の人員減少を契機として常勤オペレータを雇用していること、常勤オペレータの雇用は自給飼料費用価を増加させること、冬季の労賃負担のためにヘルパー部門導入等の多角化が必要になること、従業員の意向やサービスの質に対する不満に起因し、ヘルパー事業の拡大は困難な状況にあることを明らかにした。 そこで、最終年度は、TMRセンターにおける常勤オペレータを対象としたアンケート調査により、常勤オペレータの属性とヘルパー従事意向の関係を分析し、多角化するTMRセンターにおける求められる人材確保に向けた課題について検討した。 ヘルパー従事に前向きな意向を持つ常勤オペレータと後ろ向きの意向を持つ常勤オペレータを比較すると、前者は配偶者有り、牧場・ヘルパー勤務経験有り、長期就業意向比率有りの比率が高く、仕事全般に対する満足度が高いという特徴がみられた。 このことから、粗飼料生産作業とヘルパーを兼務できるオペレータの確保に向けては、短期的には牧場・ヘルパー勤務経験者を雇用すること、中・長期的には人的資源管理の改善を通じて職務満足度を向上させ、長期就業意向を高めたうえで、粗飼料生産作業オペレータとヘルパーを兼務できる人材育成を行っていくことが重要になると考えられた。 また、TMRセンター単独での人材確保・育成には限界があるため、関係機関の連携の下、定地域づくり事業(マルチワーカーに係る労働者派遣事業等)協同組合の設立等を通して、地域としても人材の確保・育成に取り組む必要があると考えられる。
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