研究1年目は,砕石脱水ケーキに対し各種室内試験を実施し,砕石脱水ケーキの特異性を明らかにした.また副産された状態の砕石脱水ケーキ単体ではため池遮水材としての十分な強度を有しておらず,改質が必要であると結論付けた.そこで,研究2年目は,砕石脱水ケーキに対し,砕石工場内から発生する乾燥材料を添加することとした.添加材料を数種類選定し,最適な材料や配合割合を明らかにした.改質した砕石脱水ケーキの詳細な力学特性を明らかにするために,三軸試験や繰返し三軸試験を実施した.その結果,改質した砕石脱水ケーキは,ため池遮水材料として十分な能力を有していることが分かった.また,実施工を目指し,改質した砕石脱水ケーキに対して4種類の大型混練機を用いた実機試験を実施した.その結果,均質性を担保し,室内試験と同等の性能が発現できる混練機を選定することができた.大型混練機で作製した改質脱水ケーキを用いて,砕石工場内のフィールドに小型盛土を築堤し,600kg級のタンピングローラーで転圧作業を行う際に不具合がないか確認した. 最終年度である研究3年目には,砕石脱水ケーキを遮水材として用いたため池の小型模型を作製し,動的遠心模型実験を実施した.その結果,締固め度95%で締固めて作製した遮水材であれば,耐震性を十分有していることが明らかとなった.90%で締固めた場合,ため池底部法面近傍で液状化の可能性が示唆された.よって,現行の設計を用いて砕石脱水ケーキをため池遮水材に使用する場合,十分に締固めを行う必要がある事が分かった.
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