当初の実施計画を延長することで,① 黒ボク土を用いた土槽栽培実験,② 人工マクロポアとSOM蓄積量の関係性,③ HP2プログラムによるSOM蓄積効果の評価に取り組んだ.以下に,研究実績内容を示す. I. 黒ボク土を用いた土槽栽培実験:局所耕うん法による密集根群下において,密集根群を伝う2次元の水分流れ,蒸散量およびCO2濃度変化を計測した.有機物分解をモデル化するため,CO2濃度の循環型計測システムを構築・評価した.とくに,有機物分解は酸素を消費してCO2が放出されるため,循環型計測システムにO2濃度計測を連続測定できるシステムに再構築した. II. 人工マクロポアとSOM蓄積量の関係性:ワグネルポットを用いて,局所耕うん法の反復実験を行った.対照実験として,作物栽培なしの条件下において,CO2濃度の水分量依存性を求めた.黒ボク土の団粒内外の保水形態によって,CO2濃度の発生量が変化することが示唆された. III. HPxプログラムによるSOM蓄積効果の評価:1次元の水分・CO2ガス移動を扱うHydrus 1Dおよび有機物分解反応を扱うPHREEQCの結合プログラム HP1がある.本研究では,SOM蓄積効果を評価するために,まずは2次元の水分移動に焦点を当てた.しかしPHREEQCはアプリケーション(HPGeochemistry)の大幅変更が生じた.そこで,イオン交換反応,有機物分解モデルおよびCO2ガス移動の計算に関して,セミナーに参加しながらプログラムを移植させた.
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