研究課題
本研究では雌性生殖器の温度勾配維持機構に着目し、その機構の本体は臓器血流であるとの仮説から、生殖器温度勾配維持の機序、および卵胞発育不全および排卵不全などの卵巣機能不全と生殖器の温度勾配および血流との関係を解明する。加えて、社会実装を見据え、生殖器の温度勾配を調節することで暑熱環境下での 卵巣機能不全を防止、改善できるか検討する。また、同時に非侵襲的な生殖器周囲温度のような深部体温のモニタリング手法を検討する。本年度は社会実装を見据えた、研究に主として取り組み、前研究課題において、確立した卵巣、子宮の腹腔内生殖器の継続的な温度測定手法を用い、発情前後 での腹腔内生殖器温度と測定が容易な膣温、体表のサーモグラフィーの変化(皮膚温、眼球温)のデータ解析、論文作成を昨年に引き続き行ない、眼球温は発情期から排卵期に向けて温度低下を示すことを明らかにした研究成果を論文として公開された。また、カンボジア現地へ渡航を行い、現地研究者の協力のもと、暑熱環境下での飼養管理技術の向上に向けた実験の準備を行った。加えて、本研究の準備段階で着手していた暑熱環境下での飼養管理と繁殖成績の比較のデータについても昨年に引き続き、現地の研究者からデータを得て、解析を行い論文化の準備を行なっている。また、暑熱環境下での飼養管理技術向上に向け、暑熱環境下でルーメン微生物叢がどのように変化するかを検討し、暑熱環境によって、ルーメン内微生物の組成が変化することを示した。この研究結果についても、論文化を進め、投稿準備中である。
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Journal of Reproduction and Development
巻: 70 ページ: 49-54
10.1262/jrd.2022-116