研究課題/領域番号 |
20K15655
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
出口 辰弥 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (10849962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミトコンドリア代謝 / 腫瘍 / 放射線治療 / イヌ / メトホルミン |
研究実績の概要 |
本研究は臨床例の腫瘍のエネルギー代謝を定量するために、マウス腫瘍モデルを用いて細胞外フレックスアナライザーの条件検討(腫瘍片のサイズ、測定方法、サンプリングからの処理の最適化)を行う。イヌの骨肉腫細胞株を移植したマウス腫瘍組織からフラックスアナライザーを用いたミトコンドリアの呼吸能の測定を試みたが、組織の状態では測定自体ができきず、腫瘍のエネルギー代謝を評価することができなかった。そのため、組織から単細胞レベルまで分離する手技の確立を行うため、①物理的な手技による細胞の単離、②酵素による細胞の単離、および③細胞診による細胞の単離を、フローサイトメトリーによる細胞生存率を比較検討した。③の細胞診による細胞生存率が最も高いことが示された。続いてフラックスアナライザーに使用する細胞数を検討するため、イヌの腫瘍細胞株を用いて測定を行い、測定可能な基準となる生細胞数を確定することができた。 次に、北海道大学附属動物病院に来院した腫瘍罹患犬を対象としてミトコンドリアの代謝状態を定量し、ミトコンドリアの代謝レベルとイヌの自然発生腫瘍の種類、ステージ、治療効果、予後などが関連因子となるかを、それらと並行してミトコンドリアの代謝を阻害するメトホルミンが放射線治療効果を改善するかを評価検討する目的であった。しかし、コロナウイルス感染症による症例の受け入れ数の減少などにより、腫瘍罹患犬からの腫瘍のサンプリングが困難であり、同様にメトホルミンの放射線増感効果においても評価できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスにより試薬の配達遅延や新規患者の受け入れ数の減少などが発生しており、症例における腫瘍の検討が困難である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスに移植した腫瘍組織を用いて、腫瘍組織から細胞を単離し、ミトコンドリアの代謝レベルを測定する手技の確立を継続する。コロナウイルス感染症による影響から症例からのサンプルの収集が困難である場合は、マウスに移植した腫瘍にX線照射、メトホルミンの投与を行い、腫瘍組織におけりミトコンドリアの代謝の変化を定量できるかを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによる試薬の配達遅延や、動物の入荷遅延などが生じているため。
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