研究課題/領域番号 |
20K15660
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
村上 智亮 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10728447)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミロイドーシス / 質量分析 / アミロイド共存蛋白質 / レーザーマイクロダイセクション / イヌ / ツシマヤマネコ |
研究実績の概要 |
Laser microdissection-mass spectrometry (LMD-MS) 法を動物アミロイドーシス診断手技として完全に確立した。LMD-MS法に基づき、ネコのAmyloid signature proteinとして、Apolipoprotein E, Apolipoprotein AI, Apolipoprotein AIVを決定し、人における主要なASPであるSerum amyloid P componentが動物において発現しないことを発見した。さらに、犬猫のALアミロイドーシス診断において、LMD-MS法が有効であることを見いだした。ALアミロイドーシスの原因蛋白であるImmunoglobulin light chainは可変領域を有し、免疫学的手法での検出が困難であることから、本法は新たな診断法のスタンダードとして期待される。現在、LMD-MS法を用い、犬の乳腺アミロイドーシスの原因蛋白質としてα-S1-caseinを、ツシマヤマネコの全身性アミロイドーシスの原因蛋白質としてEGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1を同定しつつある。α-S1-caseinについては、キモトリプシン消化を用いた質量分析によって、アミロイド形成要因が遺伝子変異ではなくN末端の切断であることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画の通り、2020年度はLMD-MS法を確立し、動物(ネコ)におけるAmyloid signature protein 3種を同定した。さらに2020-2021年度の計画にある新規アミロイドーシスの解析についても、既に犬の乳腺アミロイドーシスおよびツシマヤマネコの全身性アミロイドーシスについて、原因蛋白質を1つに絞り込み、完全同定に向けての解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
犬の乳腺アミロイドーシス症例については、今後リコンビナント蛋白質を用いたin vitroでの線維形成能評価ならびに、その細胞毒性試験を実施予定である。これによって、原因タンパク質候補のアミロイド原性および、病態への関与を証明する。ツシマヤマネコの全身性アミロイドーシスについては、DNAシーケンシングによる変異解析を実施予定である。どちらも解析が完了次第、早々に論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用残額が少額であり、研究用物品の購入による使い切りが難しかったため。2年目の予算と合算し、適宜研究遂行に必要な物品の購入に充てる予定である。
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