本研究ではバイオフィルム形成と疾病の慢性化および難治性への関与に着目し、黄色ブドウ球菌(SA)による牛の乳房内バイオフィルムに関わる分子の同定とその形成機序の解明を目的として研究を行った。SAを乳房内実験感染させた牛の乳汁から単離したSAは感染後3週間からバイオフィルム形成能に変化があらわれ、それらのSAはAgrAおよびSigBの遺伝子に変異がみられた。これら派生株は元株と比較して、タンパク質発現や病原性などにも変化がみられた。以上より、SAは牛の乳房内感染が持続するうちに、バイオフィルム形成能が変異する現象が起こることが明らかとなった。
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