研究課題/領域番号 |
20K15673
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新坊 弦也 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (10839252)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / Bone Suppression / 犬 / 猫 / X線 |
研究実績の概要 |
伴侶動物の胸部X線画像におけるBone Suppression処理を開発するにあたり、2020年度は形状の個体差の小さいネコを対象とし開発を進めた。これまでにDVおよびVD像においては120例の画像を収集している。ラテラル像については40例の画像を収集した。イヌにおいても画像の収集は継続している。 科研費により購入したGPUなどにより開発環境を構築した。ネコのDV、VD像についてはCT画像から再構成した擬似X線画像に対し、マスク処理、非線形処理を行った上、深層学習を用いた超解像処理を適用することで、実際のX線画像の画質に近似させた。また、実際のX線画像は必ずしもポジショニングが正確に行われるわけではないことから、擬似X線画像は一部ローテーションを加えたものも作成し、コントラスト調整なども含めた画像のAugmentationを行った。これらの処理を施した擬似X線画像および骨成分のみを抽出した擬似X線画像を教師データとして用い、擬似X線画像から骨成分を抽出する学習モデルを作出した。本モデルに対して実際のX線画像を入力することにより、X線画像から骨成分のみを抽出し、それを差分することによりBone Suppression画像を得ることができた。骨成分の抽出の精度は高いものではなく、得られたBone Suppression画像は臨床に用いることのできるレベルの画像ではないが、開発における課題を明らかにすることができ、今後の開発に向けた道筋を明確にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス対策により患者の受け入れを制限していること、また麻酔下での撮像であることから患者の状態次第では研究用の画像の撮像が実施できない場合も多いことから、当初の予定よりもCT画像の収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
課題としては2点あり、1つは骨成分抽出モデルの作出であるが、これは現時点で一定の成果が得られていることから、精度および汎化性を高めるための試行錯誤が必要である。もう1点として、擬似X線を実際のX線の画質に近似させる手法であるが、これには今後は敵対的生成ネットワーク(GAN)の利用も検討している。現在開発中のネコのDV、VD像について適切な学習モデルさえ完成すれば、ラテラル像、およびイヌの学習モデルについても類似した手法で開発可能であろうと考えている。イヌに関しては犬種による形状の差が大きいため、複数の型に分類して学習モデルを作出することを想定している。CT画像の収集は継続して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、予定していた出張が全てキャンセルとなったため。昨年度新たに発売となった最新型の高スペックGPUが品薄であることから価格が高騰しており、この購入費用として使用する予定である。
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