研究実績の概要 |
本研究目的は「家畜に異常産を引き起こすウイルスの小動物感染モデルの開発」である。家畜に異常産を起こすシュマーレンベルグウイルス(SBV)とアカバネウイルス(AKAV)を用いて妊娠ハムスターで小動物モデルを確立する。感染動態を解析するツールとして、2020年度に引き続き蛍光SBVの作製を試みた。 1. 2020年度は、SBVのS分節にGFP遺伝子を挿入したS-GFP をもつGFP-SBVと、S-GFPの5' UTRを部分的に欠損させたS-GFP mutant(S-GFP/42, /38, /37, /36, /35, /34, /33, /32)を構築し、蛍光ウイルスとしてGFP/42-SBV, GFP/38-SBV, GFP/36-SBVが回収できた。作出できていないウイルスについて、2021年度はさらにレスキュー効率の高い293T-lentiX細胞を用いて作出を試みた。S-GFP/37, /35, /34の発現プラスミドをトランスフェクトしたところ、蛍光発現しないGFP/37-SBVとGFP/34-SBVウイルスが回収された。ウイルスRNAから、これらウイルスのS分節に遺伝子欠損が存在していることが分かった。さらに蛍光発現するGFP/35-SBVが回収できたが、これもS遺伝子が大きく欠損していた。 2. 遺伝子変異のない蛍光ウイルスGFP/42-SBV, GFP/38-SBV, GFP/36-SBVと親株のGFP-SBVを今後の実験に用いるため、HmLu-1細胞でウイルス継代したが、3代継代しても3乗までの力価のものしか得られなかった。そこで各ウイルスについて超遠心でウイルス濃縮を行った。その結果、eGFP/42-SBV:1.1×10^5 PFU/mL、eGFP/38-SBV:3.0×10^5 PFU/mLのウイルスを得ることができた。残りのウイルスは進行中である。
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