研究課題/領域番号 |
20K15681
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
古山 敬祐 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (50611026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウシ卵子 / 個別培養 / 核成熟 / 卵割動態 / 着床能力 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、高着床能力胚の生産を可能とする核成熟速度に対応したウシ卵子体外培養系を構築するために、「成熟培養(IVM)時における核成熟速度の非侵襲的な予測モデル作成のためのデータ収集」と「体外受精(IVF)試験に向けた条件検討」を行った。まず、食肉処理場由来卵巣由来のウシ未成熟卵子卵丘細胞複合体(COC)を対象とし、個別培養系を用いて12~21時間IVMを実施した。IVM中、経時的に卵子形態を撮影し、IVM後での卵子毎の核成熟動態を評価した。15時間のIVM後に、第一減数分裂中期(MI)に達した卵子の割合は65%、18時間のIVM後に、第一減数分裂後期/終期に達した卵子の割合は40%、21時間のIVM後には、第二減数分裂中期に達した卵子の割合は80%であった。15時間のIVM後に卵子がMIまでにしか達していなかったCOCは、15時間のIVM後にMI以降まで減数分裂が進んでいたCOCよりも、IVM前後におけるCOC面積および卵子とCOCの比率が有意に小さかった。また、15時間のIVM前後のCOCおよび卵子面積を指標として、一般化線形モデルを用いた予測を試みたところ、15時間のIVM後に非侵襲的に得られる情報からCOCの核成熟速度の違いを分類できることが示された。以上の結果から、COCの画像情報から得られる情報を指標とすることで核成熟速度を非侵襲的に予測できると考えられた。続いて、IVMから発生培養(IVC)までの全ての過程を個別培養および個別受精系を用いて実施し、その受精および発生動態を評価した。精子侵入率は70%で、胚盤胞形成率は35%であった。以上のことから、今回使用したIVMからIVCまで通しての個別培養系は、IVF試験に供試可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね予定通りに進行しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、実験のサポート実施してもらう予定であった大学院生の来日が遅れており、試験の進捗状況は少し遅れている。令和3年度中の来日が叶わないことも考慮し、試験計画を組みなおしたため、予定通り試験は実施できる見込みとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、これまでに作成した予測モデルによる核成熟速度の予測精度の検証およびモデルの改善を図る。また、発生培養中の卵割動態をタイムラプスカメラで詳細に評価することにより、ウシ卵子の核成熟速度と体外受精後の卵割動態との関係性を解析する。
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