変性性僧帽弁疾患(MMVD)は犬で最も多い心疾患で、トランスフォーミング増殖因子(TGF)βや骨形成タンパク質(BMP)の発現増加に伴う弁膜肥厚により生じるが、それを抑える治療薬は存在しない。2型糖尿病治療薬メトホルミンは、TGFβ/BMPの作用を抑えることが報告されているが、僧帽弁の肥厚に及ぼす影響は知られておらず、その解明を本研究の目的とした。ラット心臓弁由来間質細胞においてメトホルミンは、TGFβ/BMPによるシグナル分子の活性化、および形質変化に伴うマーカータンパク質の発現増加を抑制した。また、ラット摘出僧帽弁においてメトホルミンは、TGFβによる弁膜肥厚を抑制した。
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