• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

猫のグルカゴン制御メカニズムの解明と糖尿病治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K15684
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

小田 民美  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (40739158)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード猫 / グルカゴン / 糖尿病 / 血糖コントロール
研究実績の概要

近年、人の2型糖尿病では、グルカゴン分泌調整異常による問題が注目されている。猫の糖尿病は人の2型糖尿病に類似するといわれており、人と同様に猫の糖尿病においてもグルカゴン分泌調整異常が関連する可能性がある。そこで、本研究では糖尿病猫および健常猫のグルカゴン、およびインスリン・グルカゴン分泌を調節している糖代謝関連ホルモンであるインクレチン(GIP、GLP-1)の分泌について比較検討した。
Normal群では食後のインスリン分泌反応に応じて緩やかにグルカゴン分泌が低下した。一方DM群では食後もグルカゴン分泌がほとんど低下せず、終始高値を推移していて、糖尿病猫ではグルカンゴン分泌調整異常があることが明らかとなった。また個体ごとに検証していくと、血糖コントロールの悪い個体ほどグルカゴン濃度が高値を推移する傾向にあった。高グルカゴン血症はヒト2型糖尿病でも確認されており、これが高血糖やインスリン分泌異常と関連すると考えられていて、糖尿病猫でも同様の可能性があると考えられた。
GIPは両群でほとんど差が認められなかった。GLP-1はNormal群と比較してDM群では非常に低値を推移しており、Normal群では食後に食前値の2倍程度まで上昇したが、DM群では食後もほとんど上昇しなかった。ヒトの糖尿病患者では、内因性GLP-1 分泌反応が低下し、これがインスリン・グルカゴンの分泌異常を引き起こしているとも報告されており、糖尿病猫でも同様にGLP-1分泌反応が低下することが考えられた。
結果として、糖尿病猫ではグルカゴンおよびGLP-1分泌調整の異常があり、これが糖代謝異常の原因となる可能性が考えられた。今後例数を増やしてさらに解析する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度に検査キット輸入が安定しなかったことにより実施できなかった研究課題である猫の糖尿病とグルカゴン分泌異常の関係について本年度は検討してきた。結果として、高グルカゴン血症が糖尿病猫の高血糖や血糖コントロール悪化している可能性が示唆され、この結果についてJCVIM2022口頭発表にて報告した。
一方で、早期診断マーカーとしてのグルカゴンの有用性については症例数不足により明確な結果が得られず、予定していた計画の一部が完了しなかった。

今後の研究の推進方策

グルカゴンが診断マーカーに有用かを引き続き症例数を集積して検討することを、次年度予定している研究課題と同時進行で実施する。
症例数に関してはコロナ禍の影響により来院患者が全体的に減少していることも影響しており、次年度も予想できない所であるため、症例数が集まらない場合には近隣病院への協力要請についても検討している。

次年度使用額が生じた理由

症例数不足によって一部の検査キット購入を延期した。次年度、さらに症例数を集積し改めて追加購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 糖尿病猫における糖代謝関連ホルモンの分泌に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      小田民美
    • 学会等名
      第18回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2022)

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi