研究実績の概要 |
テラトーマは始原生殖細胞を起源とした3胚葉性の組織が無秩序に塊あった腫瘍である。テラトーマには、分化途中の細胞や時には全能性をもつ胚性癌腫細胞(EC細胞)が存在し、分化した細胞を次々に作り出す。マウスでは精巣性テラトーマ形成に関連する遺伝子座が同定され(Youngren et al., Nature 2005)研究が進んだが、なぜ正常な配偶子形成過程から逸脱し、3胚葉性の組織が分化するかはわかっていない。そこで、新たな視点から解析する必要がある。 これまでに行なってきたマウス胎仔精巣移植によってテラトーマの形成を誘発させる実験的精巣性テラトーマ(Miyazaki T. et al., Mammalian Genome, 2014; Miyazaki T. et al., Zoological Science, 2018)実験系を用い、シングルセルRNAシークエンス(ScRNA-Seq)解析によりテラトーマを形成するような稀な生殖細胞のクラスタリングを行う予定であったが、所属の変更やコロナの影響もあり思うように研究を進めることが困難であったため、シングルセル解析を行うことが出来なかった。しかしこれまでに同定した実験的精巣性テラトーマ形成関連遺伝子についてはレンチウイルスやアデノ随伴ウイルスを用いたスクリーニング系を構築中である。
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