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2022 年度 実績報告書

ヒストンH3バリアントH3.3の量的操作による、体細胞核移植法の改善

研究課題

研究課題/領域番号 20K15705
研究機関東京大学

研究代表者

羽田 政司  東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (10802746)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードhistone variant / SCNT / early development / H3K9me3 / H3.1/H3.2 / H3.3
研究実績の概要

本研究課題は、ヒストンバリアントH3.3を体細胞核移植胚で過剰発現させることにより、遺伝子発現に抑制的なヒストンバリアントH3.1/H3.2の排斥を介して、体細胞核移植法の成功率を改善させることを目的とした。
まずH3.1/H3.2量が体細胞核移植法の効率に対してどの程度影響するのかを調べるため、体細胞核移植法の成功率が特に低いことが報告されているマウス栄養膜幹細胞 (TS細胞) に着目した。TS細胞におけるH3.1/H3.2のゲノム局在を解析したところ、H3.1/H3.2は数Mbにわたった巨大なドメイン状の領域を形成していることが分かった。体細胞核移植法の成功率には抑制的なヒストン修飾であるH3K9me3が強く影響することが報告されているが、H3.1/H3.2のドメイン構造においてもH3K9me3の強い濃縮が確認された。これらのことはH3.1/H3.2がH3K9me3を呼び込むことで核のリプログラミングに対して強い抵抗性を示す可能性を示している。実際、酵素的処理によってH3K9me3を除去したところ、核移植胚の発生効率は劇的に改善し、クローンマウスを作出することに成功した。TS細胞のような胚体外系列の細胞を用いてクローン動物を作出することは世界で初めての成果である。
次に核移植胚において、H3.3の過剰発現量とH3.1/H3.2の排斥量の関係性を検証したところ、12.5ng/uLのH3.3-mRNAを導入することで、核内におけるH3.1/H3.2量を約半分に減少させることに成功した。最後にこの条件で体細胞核移植法を行ったところ、微弱ながら改善傾向にあることが確認できた。
これらの成果から、ヒストンバリアントの量的操作という体細胞核移植法の新しい改善方法を提供することができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Suppression of endogenous retroviral enhancers in mouse embryos derived from somatic cell nuclear transfer2022

    • 著者名/発表者名
      Shikata Daiki、Matoba Shogo、Hada Masashi、Sakashita Akihiko、Inoue Kimiko、Ogura Atsuo
    • 雑誌名

      Frontiers in Genetics

      巻: 13 ページ: 1032760

    • DOI

      10.3389/fgene.2022.1032760

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 精子核凝縮過程におけるクロマチンの動態解析2022

    • 著者名/発表者名
      羽田政司、福田裕子、古賀千津子、井上絵里奈、藤原靖浩、岡田由紀
    • 学会等名
      第115回日本繁殖生物学会大会
  • [学会発表] 精子核凝縮過程におけるクロマチンの動態解析2022

    • 著者名/発表者名
      羽田政司、福田裕子、古賀千津子、井上絵里奈、藤原靖浩、岡田由紀
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会

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公開日: 2023-12-25  

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