最終年度はmiRNA/non-cleaving shRNAが翻訳速度を一時的に低下させることを検証するために、蛍光レポーターを作成し、フローサイトメトリー解析により、non-cleaving shRNAが標的タンパク質産生を阻害することなく、翻訳速度を一時的に低下させることを確認した。 研究期間全体を通じた成果としては、まず、リボソームプロファイリングとmiRNA結合領域データの解析により、mRNAのCDSに結合するmiRNAは、標的の分解や翻訳を抑制することなく、リボソームの速度を一時的に遅くさせる機能を持つ可能性を示した。この概念を実験的に検証するために、新生鎖のミスフォールディングに脆弱なレポーターを作成し、グローバルもしくは標的特異的なmiRNAの減少が翻訳速度を局所的に加速させ、新生鎖の折畳みを負に制御することを示した。また、内在性のタンパク質においてもnon-cleaving shRNAによって翻訳速度を調節することで標的タンパク質の変性を抑制することが可能かどうか検証するために、変性が2型糖尿病とも関連があるとされるインスリンに着目し、non-cleaving shRNAを設計し、インスリンの変性指標であるプロインスリンのdimer・trimerへの影響を検討したところ、non-cleaving shRNAにより、monomerプロインスリンに対するdimer・trimerを減少させることができた。そして、これらの結果をまとめ論文として発表した。
|