本研究から、Cdc7やASKが個体を形成する異なる細胞系列において、異なる要求性を示すこと、Cdc7あるいはASK非依存的な複製様式が存在すること、Rif1やCdk阻害因子がそれらの経路を阻害していることが明らかとなった。生体内では細胞系列ごとに多様なDNA複製開始システムが採用されている可能性があり、Cdc7-ASK非依存的な新規複製制御機構の解明は、DNA複製機構の多様性を明らかにし、癌細胞や正常細胞、細胞系列特異的な細胞増殖メカニズムに新たな知見をもたらす。さらに細胞種特異的な複製メカニズムの解明は、癌などの疾患細胞を標的とした新規創薬に繋がる可能性がある。
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