研究課題/領域番号 |
20K15739
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本間 悠太 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70812642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Rab / 小胞輸送 / 分泌経路 |
研究実績の概要 |
分泌経路は、細胞が分泌分子(可溶性分泌タンパク質や膜タンパク質)を細胞外(細胞膜)へと輸送する主要な経路であるが、特にゴルジ体以降について、どのように分泌分子の輸送・選別が行われているか不明な点も多い。これまでの研究で、低分子量Gタンパク質であるRab6のノックアウト細胞が、基底膜形成不全と分泌不全(および分泌分子のリソソームへの蓄積)の二つの表現型を示すことを明らかにしていた。そこで本研究では、Rab6による分泌経路の制御機構を解明するため、Rab6との結合が報告されている分子(エフェクター)のうち、ELKS、Bicaudal-D、VPS52、GCC185、TMF1の5種類に着目した。これらのエフェクター候補遺伝子のノックアウト細胞を作製し、Rab6ノックアウト細胞と同じ表現型を示すかどうかを解析した。 まずこれらのノックアウト細胞の基底膜形成を調べたところ、いずれにおいても基底膜に顕著な影響は見られなかった。従って、基底膜形成においては、Rab6は別のエフェクターを介して機能していると考えられた。続いて、シグナル配列を付加したGFPをモデル分泌分子としてエフェクターノックアウト細胞に発現させることで、分泌効率のアッセイを行った。その結果、VPS52のノックアウト細胞において、Rab6のノックアウト細胞と同様に分泌の抑制が見られた。また、モデル分泌分子はVPS52ノックアウト細胞およびRab6ノックアウト細胞において細胞内の蓄積量が増加しており、それらはリソソームに分布することが明らかとなった。これらの結果から、Rab6はVPS52との相互作用を介して逆行性小胞輸送を促進することにより、分泌経路を制御している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、既知のエフェクター候補遺伝子のノックアウト細胞を作製し、Rab6と同じ表現型を示す遺伝子としてVPS52を同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はVPS52のタンパク質機能を詳細に解析するため、様々なアミノ酸欠失変異体や置換変異体を作製し、VPS52ノックアウト細胞のレスキュー実験を行うことで、アミノ酸領域と機能との関連を解析する。またこれらの変異体とRab6との相互作用を解析し、Rab6とVPS52の機能的関連を明らかにする。 当初予定していたCRISPRを用いたゲノムワイドノックアウトスクリーニングについては、すでにVPS52を同定できたため優先順位は下がるが、Rab6依存的な分泌経路に関連する他の遺伝子をさらに網羅的に同定するため、検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、学会旅費が必要なくなったため。また、研究の進展に伴い、費用の掛かる実験の優先順位が変わったため。当該実験は次年度に実施する予定である。
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