研究課題/領域番号 |
20K15739
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
本間 悠太 国立感染症研究所, 細胞化学部, 流動研究員 (70812642)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Rab / 小胞輸送 / 分泌経路 |
研究実績の概要 |
分泌経路は、細胞が分泌分子(可溶性分泌タンパク質や膜タンパク質)を細胞外(細胞膜)へと輸送する主要な経路であるが、特にゴルジ体以降について、どのように分泌分子の輸送・選別が行われているか不明な点も多い。これまでの研究で、低分子量Gタンパク質であるRab6のノックアウト細胞が、基底膜形成不全と分泌不全(および分泌分子のリソソームへの蓄積)の二つの表現型を示すことを明らかにしていた。そこで本研究では、Rab6による分泌経路の制御機構を解明するため、Rab6との結合が報告されている分子(エフェクター)のうち、ELKS、Bicaudal-D、VPS52、GCC185、TMF1の5種類に着目した。これらのエフェクター候補遺伝子のノックアウト細胞を作製し、Rab6ノックアウト細胞と同じ表現型を示すかどうかを解析した。その結果、VPS52のノックアウト細胞において、Rab6のノックアウト細胞と同様に分泌の抑制が見られた。また、分泌分子はVPS52ノックアウト細胞およびRab6ノックアウト細胞において細胞内の蓄積量が増加しており、それらはリソソームに分布することが明らかとなった。この表現型に関わるVPS52の機能ドメインを絞りこむために、VPS52のC末端領域を段階的に欠失させた変異体を作製してレスキュー実験を行い、アミノ酸411-556が重要であることを明らかにした。一方で、これまでに知られていたVPS52の機能であるリソソーム酵素の輸送には、C末端側領域全体(アミノ酸441-723)が必要であることが分かった。これらの結果から、Rab6はVPS52との相互作用を介して分泌経路を制御している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、既知のエフェクター候補遺伝子の中からVPS52を同定・解析し、論文として発表することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初予定していたCRISPRを用いたゲノムワイドノックアウトスクリーニングについて、Rab6依存的な分泌経路に関連する他の遺伝子をさらに網羅的に同定するため、検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展に伴い、費用の掛かる実験の優先順位が変わったため。当該実験は翌年度実施予定である。
|