研究課題/領域番号 |
20K15753
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
Lee Seohyun 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (00847973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小胞運動 / 細胞内物質輸送 / 3次元マイクロスコピー |
研究実績の概要 |
本研究は細胞内で情報輸送を担当する小胞の運動を解明するため、生きている細胞内で動く小胞を3次元蛍光顕微鏡(dual-focus optics)を用いてナノスケールで観測し、そこで得られたイメージペアからターゲットの小胞を自動的に追跡及び高精度の3次元位置座標を獲得する専用のソフトウェアを作成することを目標とする。 2021年の計画は、1)小胞の3次元位置計算の基本となるx, y, z の高精度座標変換のため、多焦点イメージ間の変換マトリックスを求めるアルゴリズムを線 形変換とアフィン変換を用いてモデリングする。2)計画1)で求めた変換マトリクスの計算 に基づいて複数の多焦点イメージから同一の小胞を検出し、イメージマッピングにより得ら れる3次元座標の位置精度の検証を行う。 計画1)において、dual focus opticsで得られたイメージペアからターゲットの小胞を同時に検出するためには、まずそのイメージペアの間の幾何学的な関係をイメージ変換アルゴリズムで求める必要があるため、アフィン変換を用いて同じ小胞を自動的に検出してくれるモデリングに成功した。 計画2)において、計画1)で得られたアルゴリズムをもとに、イメージペアから複数の小胞ターゲットを同時に追跡できるようにするため、アフィン変換を用いてマッピングを行うプロセスを自動化プログラミングの最初とするワークフローを確立し、実験データを利用してマッピングの正確度を検証することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年の目標とした多焦点イメージペアの間の関係を説明してターゲットとなる小胞を同時に検出するマッピングアルゴリズの開発に成功し、さらにそのマッピングマトリックスによって一つの小胞ペアだけではなく、複数の小胞を同時に追跡できることに気づき、同時計測を可能にするソフトウェアを作成する基盤が揃えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、細胞内小胞の3次元運動自動追跡ソフトウェアの最終的な開発を目標とし、今まで開発してきたアルゴリズムに基づきユーザーが自分で得た多焦点イメージペアから複数の小胞を同時に追跡し、その3次元座標を高精度で抽出できる全自動化ソフトウェアを汎用グラフィカルユーザインタ ーフェースを搭載したプログラムとして発表することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid19の影響で学内活動の制限が続けた状況により、技術補佐員の雇用期間を短縮し、人件費とそこに伴う消耗品の購入の遅れが続いた。また、参加予定であった3つの国際学会の中で1つはオンライン開催、残りの2つの学会は海外で開かれたがそこに参加して日本に帰ると長い隔離期間があったためオンラインで参加するしかなかった。今年度では、本研究で今まで開発してきたアルゴリズムをさまざまな計算機タイプで試すので、複数の高性能計算機の購入予定であり、また、国際学会の発表の予定もあるので、今までの未使用分を含めて予算を執行する計画である。
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