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内耳の有毛細胞では、MET channel複合体が音によって生じた機械刺激を電気信号に変換する役割を担い、その電気シグナルが聴神経へ伝達される。MET channel複合体はイオン透過経路を形成するTMCタンパク質（TMC1/TMC2）に加え、CIB2/CIB3などの補助サブユニットから構成される。これまでにTMCタンパク質単体でのnanodisc再構成サンプルを調製してクライオ電子顕微鏡単粒子解析をおこなったものの、構造決定には至らなかった。そこで、TMCと結合する相互作用因子を検討して、MET channel複合体の構成因子であるCIB2/CIB3がTMCと複合体を形成する条件を見出した。TMC-CIB複合体を精製し、これをnanodiscに再構成して、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析をおこなった。その結果、膜貫通領域の密度が改善したマップが得られた。TMCにCIBが結合した複合体は、膜外ドメインの特徴がほとんど見られないTMCに対してCIBが膜外ドメインの特徴を増強して粒子像のアラインメントに寄与するという構造解析上の利点があるだけでなく、補助サブユニットによるMET channelの活性調節機構の理解につながるという点で生物学的意義が大きい。今後、補助サブユニットを含めたMET channel複合体の構造機能研究へと展開していく。
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