研究課題
若手研究
本研究は、生体機能に重要な相分離の機構を調べるための、薬剤添加により細胞内相分離を人工的に誘導する系を確立し、液滴内の分子動態を生細胞1分子イメージングで計測することを可能にした。本手法により、液滴形成における細胞内環境の影響、液滴内外での分子拡散や交換、相分離に寄与するアミノ酸組成等が、多様な相分離タンパク質の天然変性領域について1分子レベルの精密な定量情報として得られた。
生物物理学
細胞内の相分離は遺伝子発現やタンパク質分解などの広範な生体機能を制御しており、がんや神経変性疾患などにも関与している。本研究で開発した相分離誘導系は、液滴形成における特徴的な動態を顕在化し、その基盤となる物理的な性質や分子生物学的な機構を定量的かつ高精細に計測できるものである。さらに生化学等の研究手法にも広く適用できると考えられ、相分離が関与する広範な生命科学研究へ貢献すると期待できる。