本研究では、細胞老化の進行における細胞内マグネシウムイオン動態のメカニズムとその役割を解明することを目的として、細胞老化モデルとして間葉系幹細胞を対象として、蛍光イメージング法による解析を行なってきた。本年度においては、前年度までにおいて得られた生物学的発見をさらに深めるために下記のような解析を実施した。
(1)前年度において、細胞老化の進行に応じた細胞内マグネシウムイオン濃度の変化を解析するために、長期継続培養(約3ヶ月以上)における間葉系幹細胞内の細胞内マグネシウムイオンのイメージング画像を取得した。今年度においては、それらの画像データから細胞内マグネシウムイオン濃度を定量的に解析する画像解析手法の構築に成功した。そして、この解析技術を前年度までに取得したデータに適用することによって長期にわたる細胞内マグネシウムイオン濃度の経時的変化の取得を目指した解析を実施した。 (2)前年度において、細胞老化に伴う細胞内マグネシウムイオン濃度変化を解明するために、ディープラーニングなどの機械学習の手法を用いた細胞老化レベルの定量化指標の構築を行なった。 今年度においては、この画像データ解析手法の精度を高めるための検討を行なった。 (3)前年度において、マグネシウムイオン恒常性の人為的介入は細胞老化の進行に影響を与えることを発見したため、マグネシウムイオンが細胞老化に影響を及ぼす分子メカニズムの解明を目指した研究をすすめた。
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