研究課題/領域番号 |
20K15765
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
篠田 肇 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (90846643)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | タンパク質一分子の網羅的解析 |
研究実績の概要 |
生体膜マイクロチップ技術と蛍光イメージング技術を融合することで、小胞体Ca2+-ATPアーゼの機能を多角的かつ網羅的に一分子解析するための新技術の開発をまず目的としている。Ca2+やATP濃度変化を高感度で検出できる蛍光タンパク質ベースのセンサーを応用することで、小胞体Ca2+-ATPアーゼによるCa2+輸送やATP輸送活性を特異的かつ高感度に計測できると期待できる。一方、蛍光タンパク質ベースのセンサーはマイクロチップに非特異的に吸着することが判明し、デバイス内でセンサーが正しく機能しないことが示唆された。そこで、マイクロチップを高分子ソフトマテリアルでコーティングすることで、センサーのデバイスへの非特異的吸着の抑制を図った。結果、蛍光タンパク質の吸着を大幅に抑えることに成功した。また、従来法ではマイクロチップデバイスを一つ一つ準備し、アッセイを行うのに時間がかかることが問題点であった(1つのデバイスを作製しアッセイを行うのに1時間以上要する)。これを解決するために、従来よりも10倍大きい大型マイクロチップデバイス、ならびにそれに合わせたマイクロ流路系を開発した。この新しいデバイスを使用することで、一つのデバイスあたり15サンプルのアッセイを行なうことができるようになった。来年度は本アッセイ技術をさらに洗練化させるとともに、小胞体Ca2+-ATPアーゼの機能解析に応用できるようにチューニングする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロチップを高分子ソフトマテリアルでコーティングすることで、蛍光タンパク質の吸着を抑えることに成功した。これにより、蛍光タンパク質ベースの高感度Ca2+・ATPセンサーを用いたSERCAの機能解析が可能になると期待できる。また、大型のマイクロチップデバイスを作製し、一デバイスで15サンプルのアッセイを行うことができるハイスループットな一分子解析基盤の開発を順調に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
高分子ソフトマテリアルでコーティングしたマイクロチップと、蛍光タンパク質ベースのセンサーを組み合わせることで、SERCAのCa2+やATP輸送機能を測定できるプラットフォーム技術開発に取り組む。加えて、大型のマイクロチップを応用することで、様々な溶液条件・アッセイ条件でSERCAの機能がどのように変化し制御されるのかを、ハイスループットに測定できる技術開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
蛍光試薬等の消耗品購入に充てるため、来年度に使用予定。
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