生殖細胞の発生を司る遺伝子発現制御ネットワークは、哺乳類の進化過程において著しく多様化しており、進化の過程でfine-tuningされてきたことが示唆 される。本研究では、類人猿特異的なERVの一種であるLTR5_Hsが、始原生殖細胞における遺伝子発現制御ネットワークを改変した可能性を示した。LTR5_Hsは、iPS 細胞から樹立したヒトの始原生殖細胞においてエンハンサーとして活性化していた。さらに、種間比較トランスクリプトーム解析により、LTR5_Hsの挿入が、類人猿特異的なエンハンサーを創出することで始原生殖細胞における遺伝子発現制御ネットワークを改変した可能性が高いことが明らかとなった。
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