本研究は、細胞内コンテクストの異なるHER2陽性乳がん細胞および心筋細胞のHER2シグナルを再現可能な数理モデルを構築し、トラスツズマブ(TRZ)による心機能低下に寄与する分子反応を明らかにすることを目的とする。はじめに、TRZとHER2を活性化するリガンドNRG1が乳がん細胞と心筋細胞のHER2下流のリン酸化シグナル伝達や細胞生存率、心筋細胞の拍動に与える影響を評価した。 続いて、HER2シグナル伝達の実験データと心筋細胞のmRNA発現量のデータを基に数理モデルを構築した。心筋細胞の数理モデルの最適化を行ったところ、乳がん細胞由来のモデルとは反応パラメータが得られた。
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