研究実績の概要 |
本年度は時計遺伝子による一次繊毛・一次繊毛由来小胞への影響を検討するため、CRISPR/Cas9システムにより各種時計遺伝子(Bmal1, Cry1, Cry2)をノックアウトしたNIH3T3細胞の作製・及び解析を行った。 作製した時計遺伝子ノックアウトNIH3T3細胞の解析を行ったところ、野生型のNIH3T3細胞に比べ、Bmal1, Cry1, Cry2をそれぞれノックアウトした細胞では、一次繊毛の長さが増加する傾向が免疫染色により認められた。さらに、培養液中への一次繊毛由来小胞の放出量をWestern blottingにより検討を行ったところ、野生型に比べ、ノックアウト細胞では一次繊毛由来小胞放出の減少が認められた。 また、本年度は時計遺伝子による一次繊毛・一次繊毛由来小胞への影響を、ノックアウト細胞だけでなく、時計遺伝子の阻害剤として知られるSR9011(Rev-erbアゴニスト)を用いて検討を行った。免疫染色により一次繊毛の形態変化について解析を行ったところ、SR9011曝露細胞ではコントロールの細胞に比べ、一次繊毛の長さが著明に増加し、時計遺伝子ノックアウト細胞と同様な結果が観察された。 以上の結果から、時計遺伝子は一次繊毛・一次繊毛由来小胞放出に大きく影響を与えることが示唆された。本年度の成果は一次繊毛由来小胞の放出メカニズムを体内時計システムから解明するという本研究の目的達成に大きく貢献するものと考えられる。
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