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2020 年度 実施状況報告書

上皮細胞の接着帯におけるアクトミオシン束の裏打ち機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K15793
研究機関徳島大学

研究代表者

榊原 正太郎  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80836396)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード細胞間接着 / アドヘレンスジャンクション / アクトミオシン束 / カドヘリン-カテニン複合体 / アファディン
研究実績の概要

生体内においては、様々な種類の細胞同士が互いに接着し、組織や器官を形成することによって固有の役割を果たしている。例えば、上皮細胞や血管内皮細胞は隣り合う細胞同士が細胞間接着によって接着し、それぞれ生体の内外を隔てる上皮シートや血管の内外を隔てる管腔構造を形成している。この細胞間接着のうちアドヘレンスジャンクションは上皮シートの機械的強度の維持を担っている。アドヘレンスジャンクションは細胞内のアクチン線維とミオシンからなるアクトミオシン束によって裏打ちされており、アドヘレンスジャンクションの機能にはアクトミオシン束が必須である。In vivoにおけるアドヘレンスジャンクションのアクトミオシン束による裏打ち機構については、接着分子であるカドヘリンの細胞内領域にアルファ-/ベータ-カテニン複合体が結合しており、これを介してカドヘリンがアクトミオシン束に連結されている。しかし、アクチン線維はin vitroではアルファ-/ベータ-カテニン複合体には結合できず、in vivoでどのような機構でアルファ-/ベータ-カテニン複合体に結合するかは不明である。研究代表者は、アドヘレンスジャンクションに局在する足場タンパク質のアファディンがアルファ-/ベータ-カテニン複合体に結合することにより、アルファ-/ベータ-カテニン複合体のアクチン線維への結合能を上昇することと、それによってアドヘレンスジャンクションのアクトミオシン束による裏打ちが可能となり、上皮シートの機械的強度が高まることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度は、アルファ-/ベータ-カテニン複合体へのアファディンの結合により、アルファ-/ベータ-カテニン複合体のアクチン線維への結合能がアロステリックに上昇し、それによってアドヘレンスジャンクションのアクトミオシン束による裏打ちが増強されることが明らかとなった。本成果をJournal of Cell Biology誌に発表した。

今後の研究の推進方策

アファディン欠損細胞ではアクトミオシン束による裏打ちに異常があるものの、アクトミオシン束はアドヘレンスジャンクションの近傍に局在していることを見出しており、このことはアファディンやアルファ-/ベータ-カテニン複合体以外を介したアクトミオシン束の局在制御機構が存在することを示唆している。研究代表者はそのうちの1つの因子を見出しており、その機能と作用機序の解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

論文が想定より早く採択され、リバイス実験に必要な研究試薬の購入が少量となったため次年度仕様額が生じた。また令和3年度は次年度使用額と合わせて、「今後の研究計画の推進方策」に記載した内容の研究遂行のための細胞生物学実験試薬および生化学実験試薬を購入予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Afadin regulates actomyosin organization through αE-catenin at adherens junctions2020

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Sakakibara, Kiyohito Mizutani, Ayumu Sugiura, Ayuko Sakane, Takuya Sasaki, Shigenobu Yonemura, Yoshimi Takai
    • 雑誌名

      J Cell Biol.

      巻: 219 ページ: -

    • DOI

      10.1083/jcb.201907079.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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