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2021 年度 実施状況報告書

転写因子ZGLP1によるマウス始原生殖細胞の雌性運命決定機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K15801
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

長岡 創  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20870158)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード卵形成 / 減数分裂 / ZGLP1 / 性決定 / 配偶子形成 / 転写制御 / 相同組換え形成 / 多能性幹細胞
研究実績の概要

令和2年度は、ZGLP1によって制御され、(1)胎生期の卵母細胞のみで一過性に発現のある遺伝子群、(2)胎生期以降、成体においても発現が維持または発現が上昇される遺伝子群を同定し、新たに遺伝子変異ES細胞株を作出した。

令和3年度は、前年度に同定したZGLP1の下流制御遺伝子群の中から転写因子に注力して解析を進めた。遺伝子破壊をしたES細胞株の核型解析、変異アレルの詳細な解析の後に、試験管内誘導系を用いて始原生殖細胞へと分化させ、胎児卵巣体細胞との共培養による卵母細胞分化誘導を実施した。まず、遺伝子発現解析から想定された通り、どの遺伝子変異も始原生殖細胞への分化には影響を与えないことが明らかになった。しかし、遺伝子変異を導入した株の中には胎児卵巣体細胞と共培養し卵母細胞への性分化を開始させるとすぐに生殖細胞が死滅してしまった変異株もあれば、逆に、野生型よりも卵母細胞の数が多くとれてくる変異株もあり、新たに同定してきた遺伝子群は卵形成過程の幅広い局面に関わることを示す結果を得た。同定してきた遺伝子は、大別すると(1)卵母細胞への性決定または減数分裂の誘導、(2)減数分裂の進行、(3)卵母細胞の生存または細胞数の制御、(4)卵母細胞成長の制御、において働く可能性が示唆された。

これらの結果はZGLP1による性決定直後から、卵子機能を構築するための複数の機能モジュール(減数分裂相同組換え、染色体対合、トランスポゾン抑制、卵胞形成、インプリンティング獲得)を制御する転写プログラムが始動していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ZGLP1の制御を受ける下流遺伝子を欠損したES細胞株を複数株作出し、試験管内誘導系を用いて解析した結果、卵母細胞の分化・生存に関わる新規遺伝子が複数あり、卵形成機構の理解を進展させる新たな展開が期待できるため。

今後の研究の推進方策

ZGLP1の下流で働く新規の転写因子群の機能解析を進め、主に卵形成過程における遺伝子発現制御の解析を進める。それらの解析からZGLP1により始動する卵形成転写ネットワークの理解を更に深める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] DMRT1-mediated reprogramming drives development of cancer resembling human germ cell tumors with features of totipotency2021

    • 著者名/発表者名
      Taguchi Jumpei、Shibata Hirofumi、Kabata Mio、Kato Masaki、Fukuda Kei、Tanaka Akito、Ohta Sho、Ukai Tomoyo、Mitsunaga Kanae、Yamada Yosuke、Nagaoka So I、Yamazawa Sho、Ohnishi Kotaro、Woltjen Knut、Ushiku Tetsuo、Ozawa Manabu、Saitou Mitinori、Shinkai Yoichi、Yamamoto Takuya、Yamada Yasuhiro
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: 5041

    • DOI

      10.1038/s41467-021-25249-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] in vitro 卵母細胞誘導系を用いた減数分裂制御機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      長岡創
    • 学会等名
      国立遺伝学研究所研究会「染色体安定維持研究会」

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公開日: 2022-12-28  

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