研究課題
若手研究
上皮組織の厚みは、組織が機能するために適切に制御される必要があるが、その制御機構には未解明な点が多い。本研究では、眼組織の発生過程において網膜色素上皮が薄いシート状に変形する際に一過的に筋収縮に関連する遺伝子を発現することに着目し、その発現制御機構と遺伝子の機能について解析を行なった。その結果、筋収縮関連遺伝子Taglnの発現が、組織の変形・歪みによって誘導され、またTagln自身も組織の変形を通じた上皮の厚み制御に積極的に関与している可能性を示唆する知見を得た。
発生生物学
本研究では、いまだ未解明な点が多い上皮組織の厚み制御機構について、筋収縮に関連する遺伝子が寄与している可能性を検証した。本研究の成果から、細胞が自身の本来あるべき形とずれが起きている際に、筋収縮関連遺伝子がその修正のために誘導され、結果として上皮組織の厚みが制御されている可能性が示唆された。上皮組織の厚み制御機構について、そのような新たなメカニズムの存在可能性を示したことに本研究の学術的な意義がある。