研究課題/領域番号 |
20K15803
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
臼居 優 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10868615)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 色素細胞 / スペルミジン |
研究実績の概要 |
ポリアミンはアミノ基を複数個有した脂肪族化合物の総称で、あらゆる生物に存在している。その一つであるスペルミジンは細胞増殖や運命決定、抗炎症、アンチエイジングなど、様々な作用が報告されている低分子の生理活性物質である。また、スペルミジンはゼブラフィッシュの体表模様形成にも関与しており、スペルミジンの減少により体表模様が変化する。しかし、スペルミジンがゼブラフィッシュの体表模様を制御する分子メカニズムの詳細については明らかにされていない。 本年度は、ゼブラフィッシュの体表模様形成に関連し、且つスペルミジンと結合する可能性があるいくつかの分子の中から、コネキシンに注目した。ゼブラフィッシュのコネキシンに対する有効な抗体がないことから、コネキシンのC末端領域に蛍光タンパクを挿入した融合タンパク質をクローニングし、in vivoとin vitro においてコネキシンのライブイメージングに成功した。また、コネキシンとペルミジンが結合する可能性があるモチーフについて、一部のアミノ酸配列を置換した変異型コネキシンをクローニングした。続いて、色素細胞に変異型コネキシンを発現する遺伝子改変ゼブラフィッシュの作出をし、その体表模様の観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コネキシン中にスペルミジンが結合すると予測されるアミノ酸が4箇所あったため、1箇所のみをアミノ酸置換した変異型コネキシンが発現する遺伝子組換えゼブラフィッシュラインと2箇所のアミノ酸を同時に置換した変異型コネキシンを発現するラインを作出し、それらの体表模様の観察を終えた。これらの結果から、スペルミジンと結合する可能性が高いアミノ酸を絞り込むことができ、研究が前進した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はスペルミジンとコネキシンの結合解析を予定している。 この結合解析の結果が変異型コネキシンを発現する遺伝子組換えゼブラフィッシュの体表模様の観察結果と対応するか、確認する。また、スペルミジンと結合する可能性があり、かつ色素細胞に遺伝子発現の認められるコネキシン以外の分子について、遺伝子組換えゼブラフィッシュやノックアウトゼブラフィッシュを作製し、体表模様の観察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言に伴う出勤時間の制限により実験を予定通り進行できない期間が生じたため、消耗品(実験試薬・キット、ディスポーザブルプラスチック製品)の使用頻度が減少した。また研究機関の異動に伴い、シーケンス解析やオリゴDNA合成などの委託先を変更したこともあり、支出が予定よりも少なくなった。
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