研究課題
若手研究
根毛は根の表面積を増やすことで、土壌からの効率的な栄養吸収に寄与する。本研究ではシロイヌナズナを用い、栄養が豊富に存在する環境下で植物が根毛の成長を強く抑制することを発見した。さらにその強い成長抑制の分子機構として、転写因子GTL1およびDF1が根毛の成長促進因子RSL4を転写抑制することを明らかにした。本研究の結果は、植物が根毛の成長抑制を通じて必要以上の栄養を吸収しない仕組みを有することを示唆する。
植物分子生物学
これまで植物の栄養応答は「特定」の栄養素が「不足」した条件で研究が進められてきた。一方、本研究は「複数」の栄養素が「過剰」に存在する条件での応答に着目し、転写因子GTL1が栄養過剰条件において根毛の成長を適切に抑制するために必要な因子であることを明らかとした。昨今、過剰量の肥料が施されたことに由来する湖川の富栄養化や大気汚染などは大きな問題となっており、栄養過剰条件における植物の応答とその分子機構に切り込んだ本研究の成果は社会的にも学術的にも意義深いものである。