本研究では、卵生脊椎動物の糖新生が繁殖中を通じて低下することを明らかにした。また、そのような糖新生活性の低下を補償するしくみの存在を示唆する結果を得た。これにより、エストロゲンによる繁殖中代謝の動態を明らかにした。同時に、胎生への移行に伴って新たな代謝経路が獲得された可能性を示し、卵生―胎生という繁殖戦略によりエネルギー代謝制御機構が変化することを明らかにした。以上を通じ、エストロゲンによる糖新生制御の進化的意義解明に道筋をつけた。さらに本研究の社会的意義として、卵生脊椎動物の繁殖中代謝を解明することで、人間の食糧として重要な水産魚種や鶏といった動物種の効率的な養殖法開発への応用が考えられる。
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