四季のある地域に生息する多くの動物は日長を季節の指標として季節の変化を読み取り、その季節に合わせた最適な生理機能や行動をとるよう進化してきた。この性質は光周性と呼ばれており、光周性を示す生命現象も多様である。近年の研究から季節繁殖の分子機構は理解が進んできたものの、その他の光周性を示す生理機能や行動の分子基盤は明らかとなっていない。我々はメダカをモデルとして脊椎動物の光周性の研究をしている中で、日長応答性を示す機能未知な遺伝子(以下、遺伝子X)を新たに発見した。そこで、分子生物学的手法を駆使することで遺伝子Xの機能や発現制御機構を明らかにし、光周性の分子基盤や動物の季節適応機構を理解することを目的とした。遺伝子Xの機能を明らかにするにあたり、CRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子Xのノックアウトメダカを作製した。また、ノックアウトメダカを用いたRNA-seq解析を実施し、短日条件では207個の遺伝子が、長日条件では262個の遺伝子がノックアウトにより発現変動していることが明らかとなった。現在、これらの情報をもとに表現型解析を実施している。遺伝子Xは機能未知なタンパク質である上、既知のドメインが保存されていない。そこで、タンパク質の細胞内局在から機能類推をすることを目的としてFLAGタグのノックインメダカを作製した。
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